1章 もしかしたら、あなたも『スマホうつ』かもしれない
・スマホ増加とうつ急増の共通点
うつ増加の背景には、
実はシステムのIT化がある!
そもそもこのように社会的にうつ症状に悩む方が増加してきたのは、
いつ頃からかと言えば、
1990年代の初め頃からではないでしょうか。
当然それ以前にもうつ症状に悩む方たちはいたわけですが、
社会的に大きな問題とまではなかったと思います。
ではなぜ、うつ症状に悩む方が
急増してきたのでしょうか?
この1990年代の初めというのは、いわゆる『バブル経済』
(1980年代後半から1990年代初めにかけて、日本における株や不動産など
の資産価格が、投機によって実体経済から大幅にかけ離れて上昇した
経済状況。)が崩壊し、景気後退期に入った時期です。
景気の後退そして不況へ、という社会経済的な大きな環境変化の
時期でした。
とはいえ、この頃の経済情勢の悪化による生活レベルの低下や
将来に対する不安などが、人の体調の変化や精神状態へあたえる影響は、
それほど大きくなかったように思います。
ただ、この頃に起こったもう一つの大きな社会変化があります。
それは、一般的な職場でのIT(情報技術Information Technology)化の
発展と普及です。
それまでの仕事や職場でのデスクワークは、紙を媒体にした資料、情報と、
相手と向い合った直接的なコミュニケーションが主流でした。
その頃のコンピューター業務というのは、
専門的な知識がないとなかなか扱うのが難しかったため、
専門的な仕事や知識のある方しか使っていませんでした。
内閣府の調査によるとコンピューター普及率は、
1990年代前半までは10%程度だったようです。
ところが、
一般的な市民にもPC作業を格段に扱いやすくしたOSソフト、
マイクロソフト「ウィンドウズ95」が登場したことで
パーソナルコンピューター(パソコン)が急速に普及し始めました。
特に「ウィンドウズ95」では、
世界中のコンピューターと情報交換ができるインターネットの接続が
格段に容易になり、一般市民が世界中の情報へアクセスすることが
可能になったのです。
これぞまさに、IT革命!ITビックバン!!ですね。
パソコンは本格的に会社や職場に導入され、
さらには一般家庭にも広く普及しました。
総務省の調査でも、
パソコン普及率は90年代後半から急速に増えて、
2001年には普及率60%程度、2009年には87.2%にまで達しました!
そして、パソコンの普及にともない、
会社や職場での仕事や、学校や家庭での勉強あるいは趣味など、
パソコンの画面に向かって作業をする機会や時間も
どんどん増えてきました。
このように2000年代に入り本格的に普及したパソコンなのですが、
実は、このようなパソコンの普及と
うつ症状に悩む方の増大とは、
ナント時期としてほぼ一致しているのです!
先程の厚生労働省の患者調査とパソコン普及率とを照らし合わせると、
パソコン普及率が50%を越えた2000年(平成12年)頃から、
うつ病患者さんが急増しています。
また、疾病別患者数の年次推移グラフでみても、
以前は「5大疾病」の中で最も多かったがん患者数はほぼ横ばい
なのに対し、うつ病を含む精神疾患患者数は平成12年(2000年)頃から
がん患者数を抜いて急増し、ここ10年間で1.5倍にもなっています!
そして、パソコン普及率が87.2%となった2009年時点では、
医療機関にかかっている患者数は、
がん患者数およそ152万人、糖尿病患者数およそ237万人に対し、
うつ症状などを含む精神疾患数は既に323万人となっていて、
がんの2倍以上にも及んでいるのです!!
日常生活の様々な場面でIT化が進み、沢山の情報にアクセス
できるようになって便利になった反面、長引く不景気の中、
社会全体の効率性が追求され、余裕の無いほど仕事量が増え、
ストレスも増加しています。
気がつけば、
私達はパソコンの画面に向かって留まり、身体を固定化して
長時間作業しなければならない状況になってしまっています。
そして後述するように、この身体の固定化、
特に、頭頸部を前方に突出した独特の猫背姿勢
『IT猫背』が、
実は身体への大きな負担となり、
うつ症状の発症に大きく影響しているのです。
首こり病のヤバい実態!
『IT猫背』の悪影響、『スマホ依存症』から『スマホ症候群』、
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